白癬は長期にわたり、粘り強く治療していかなければなりません。
一つには、表面上は完治したように見えても、皮膚の中に少しでも白癬菌が残っていれば、再発するからです。また一つには、皮膚に白癬菌が全くなくなっても、白癬菌に感染した皮膚から落ちた垢などから再感染する可能性があるからです。
このように白癬が長期化し、悪化した場合に起こりやすい症例を二つご紹介します。
一つは爪白癬です。もう一つは角質増殖型水虫です。どちらも足白癬、すなわち一般に水虫と呼ばれる症状から、病状が進行したものです。
爪白癬は爪水虫とも呼ばれます。症状のごく初期では塗り薬で治癒が可能な場合もあります。しかし、悪化するにしたがって、爪の色が濁っていき、黄色から褐色へと変色していきます。また、爪の形も崩れてきます。爪の表面から、崩れた爪の組織がボロボロと剥がれ落ちていき、その中には白癬の原因である、白癬菌が含まれています。
爪白癬の治療では、内用薬が使われます。また、患者は5本指靴下を履き、頻繁に履き替えるなど、指を乾燥指せることが求められます。
角質増殖型水虫は一般の水虫のイメージとは違い、低温で乾燥した冬に症状が悪化します。
症状としては、かかとなどの皮膚が厚く、硬くなり、時にひび割れます。ある程度年齢を重ねられた方などは、年齢のせいで皮膚が乾燥しているのだと、治療をなおざりにする場合があります。しかし、こちらもごわごわした皮膚から剥がれ落ちる皮に、白癬菌が含まれています。
周りの方のためにも、悪化した白癬はきちんと治療することが重要です。